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経営規模等評価においては、工事種類別完成工事高ならびに工事種類別元請完成工事高を算出する際に、特定の専門工事を一式工事または別の専門工事へ振り替えて、特定の業種の完成工事高を増やすという方法が可能です。
これを業種間積み上げ(他に加算、振替、特例計算など)と呼び、評点を上げたい業種がある場合には有効な手段です。

振り替えができる専門工事は以下の通りです。

【土木一式工事に振替可能な専門工事(例)】
とび・土工・コンクリート工事、石工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、ほ装工事、しゅんせつ工事、水道施設工事など

【建築一式工事に振替可能な専門工事(例)】
大工工事、左官工事、とび・土工・コンクリート工事、屋根工事、タイル・れんが・ブロック工事、鋼構造物工事、鉄筋工事、板金工事、ガラス工事、塗装工事、防水工事、内装仕上工事、建具工事など

【専門工事間で振替可能な工事(例)】
電気工事と電気通信工事、管工事と熱絶縁工事または水道施設工事、とび・土工・コンクリート工事と石工事または造園工事など
※相互に振替が可能です。

他にも振替可能な業種はあり、どの行政庁でも共通性はありますが、その判断は各行政庁の判断次第になる現状です。
また、同じ業種であっても工事内容に応じて判断され、認められないケースもあるので、事前に相談するなどして確認したほうがよいでしょう。

■業種間積み上げでの注意点

①積み上げに利用する業種は建設業の許可を受けていなければならない
積み上げでは、振り替える業種と振り替えられる業種の両方で建設業の許可が必要です。

②一部だけを積み上げることはできない
積み上げでは、他の業種に振り替える工事の(元請)完成工事高の全てが対象です。
小分けにして一部の額だけを振り替えるということはできないため、専門工事のある業種の振り替え先になる業種は1つです。

③振り替えた業種は審査対象にならない
積み上げのために振り替えた業種は、その事業年度において審査対象にならないことから、経営規模等評価申請と総合評定値請求ができません。
その業種の完成工事高が0になるのではなく、経営事項審査を受けられないという扱いになります。
これは即ち、公共工事の入札に参加できないことを意味しますので、何でも振り替えればよいというものでもありません。

■積み上げが想定されるケースと懸念点

積み上げによってある程度は完成工事高を調整できることから、受注したい公共工事の業種を絞って評点を上げるという経営戦略が考えられます。
また、前年度まで工事実績があって今年度は廃業や休業を予定している、入札参加の予定がないなどの業種があるなら、その業種は経営事項審査が必要なくなるため、別の業種に積み上げてしまうことで完成工事高を増やせます。

ただし、積み上げの分は実際の工事実績ではないので、公共工事の発注者によっては積み上げを認めていない場合があります。
更に、振り替えた業種については、当該年度の経営規模等評価を受けられないため、前年度に受けた経営事項審査の有効期間が終わると同時に、公共工事を受けられなくなります。

したがって、振り替え先に選んだ業種の評点と、振り替え元の業種における今後の予定など、十分に検討した上で積み上げを利用することが大切です。