建設業許可申請イメージ

建設業の許可を得るためには、経営業務の管理責任者と呼ばれる者が常勤していなければなりません。経営業務の管理責任者とは、責任ある立場で経営業務の管理を行う者のことを言います。

建設業における経営業務とは、契約、見積、入札、施工等の対外的に生じる業務のことで、経営業務の管理責任者はこれらの業務について知識や経験を十分に持っている必要があります。
そのため、経営業務の管理責任者は、主に経営業務の実務経験において審査されます。

建設業の許可に経営業務の管理責任者が求められる理由は、建設業が発注者との請負契約による目的物の引渡しという1つの業務形態であっても、その内容には、資金、資材、人材の確保、下請の選定と契約、施工管理といった多岐にわたる業務が発生するという建設業の特殊性にあります。
このような建設業の業務に対し、発注者の保護に基づき、適正な建設業の経営を確保するという側面から、責任ある立場に経験ある管理責任者を置くことが不可欠と考えられています。

経営業務の管理責任者の設置は、一般建設業と特定建設業では違いはなく、どちらも同じ要件になっており、常勤していなければなりません。
常勤とは一般的に考える常勤であり、休日や勤務を要さない日を除き、基本的に毎日出社して所定の時間をその業務に従事していることをいいます。

経営業務の管理責任者として必要な属性

・法人の場合:常勤の役員のうち1人

経営業務の管理責任者は常勤が必須条件なので、常勤性について証明しなくてはなりません。
常勤であるがゆえに、役員報酬も一定額以上になるはずで、その金額も行政庁によっては判断の基準とされる場合があります。

【役員に含まれる役職】
代表取締役、取締役、委員会設置会社の執行役、合名会社の社員、合資会社の無限責任社員、法人格を有する組合等の理事

【役員に含まれない役職】
執行役員、監査役、会計参与、監事、事務局長等

・個人の場合:事業主、支配人のうち1人

個人の場合には事業主または支配人ですが、支配人は登記されている支配人に限ります。
これは、支配人の権限が、事業主に代わって契約を行うに相当しているという客観的な事実は、登記によって確認できるためです。

経営業務の管理責任者として必要な要件(令和2年10月1日改正)

経営業務の管理責任者として認められるためには、次のいずれかに該当する必要があります。

①建設業に関し5年以上の経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること

経営業務の管理責任者としての経験とは、具体的には営業取引上において対外的に責任がある経験をいいます。
つまり、法人の役員や個人事業主、支配人、支店や営業所の代表者等で、建設業の経営業務を管理していた経験になります。
そのため、経営業務を行っていない拠点(現場事務所等)における代表者では、責任者という立場でも経営業務の管理責任者と認められません。

②建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者としての5年以上経営業務を管理した経験を有する者であること

「経営業務の管理責任者に準ずる地位」とは、法人であれば役員に次ぐ地位、個人であれば当該個人(事業主や支配人等の経営業務の管理責任者)に次ぐ地位であることをいいます。

③建設業に関し経営業務の管理責任者に準ずる地位にある者としての6年以上経営業務の管理責任者を補助する業務に従事した経験を有する者であること

「経営業務の管理責任者に準ずる地位」とは、法人であれば役員に次ぐ地位、個人であれば当該個人(事業主や支配人等の経営業務の管理責任者)に次ぐ地位であることをいいます。