Q:建設業退職金共済制度加入はどうやって証明する?
A:経営規模等評価では、建設業退職金共済制度(建退共)の加入によって加点されますが、加入しているだけで共済証紙の購入がないなど履行されていないケースでは認められません。したがって、建退共の各支部から加入・履行証明書を発行してもらい証明することになります。建退共の各支部においても、加入だけで履行されていない場合には、加入・履行証明書を発行していないため、証明が可能になっています。
Q:社会保険料の未納があっても経営規模等評価を受けられる?
A:社会保険料が未納であっても経営規模等評価は受けられます。経営規模等評価による労働福祉の状況への減点は、雇用保険、健康保険、厚生年金保険の加入状況が評価対象になるのであって、未納であることでは減点対象になりません。少なくとも現状では、未納であっても加入を証明できればよいことになります。
Q:社会保険は全員加入が必要?
A:社会保険の加入が義務付けられる適用事業所(法人の全てと個人事業で常勤5人以上の雇用)であって、事業所として加入していれば、加入できない者を除く一部の従業員が未加入でも、減点の対象になりません。しかし、国土交通省が建設業における社会保険の加入促進を熱心に行っていることから、この運用は将来変更される可能性があります。
Q:社会保険の適用除外になる条件とは?
A:雇用保険、健康保険、厚生年金保険は、未加入なら減点対象になりますが、適用除外であれば減点されません。この適用除外とは、雇用保険は労働者の雇用がない場合、健康保険は個人事業で常勤5人未満の雇用の場合と建設国保や土木国保に加入の場合、厚生年金保険は個人事業で常勤5人未満の雇用の場合です。
Q:営業年数の計算はどのようにする?
A:営業年数の起算は、建設業の許可(昭和24年から昭和47年の改正法施行までは登録)を受けた日になり、それ以前から営業していても営業年数として算入できません。また、営業年数は、初めて許可または登録を受けてから審査基準日(直前の決算日)までにおける、休業・廃業や許可切れ、営業停止等の期間を引いた日数を、1年未満を切り捨てて算出します。
Q:再生期間中の場合の営業年数は?
A:再生期間中であっても、営業年数は建設業の許可(登録)を受けてからの年数でカウントします。これは、再生期間中に一律で減点があり、営業年数の長さによる加点と相殺する仕組みになっているためです。再生期間が終了して手続終結の決定がされると再生期間中にあたらないため減点はなくなりますが、営業年数もリセットされます。
Q:任意で防災活動に協力すれば加点がある?
A:経営規模等評価における防災活動への加点は、防災協定締結の有無によって判断され、防災活動に協力したことをもって判断するものではありません。これは、経営事項審査が全国共通の基準で審査されるという意味で、防災協定締結を要件としているためです。ただし、公共工事の発注機関が、主観的審査において任意の防災活動を評価する可能性はあります。
Q:防災活動の種類に制限はある?
A:防災活動は全国で共通な活動になるとは限らず、災害の内容や地域によっても様々です。そのため、経営規模等評価では防災活動の内容までを評価するものではなく、防災協定締結をもって判断しているため、たとえ防災活動が建設工事ではなくても、建設業者として締結された防災協定によって評価されます。
Q:防災協定を複数締結している場合は?
A:防災協定締結に対する評価は、有無だけであって件数を問わないため、1件の締結でも複数の締結でも評価は同じです。複数の防災協定を結んでいる建設業者は、防災協定の数が多いほど、その体制整備のために負荷を伴いますが、その貢献度は、公共工事の発注機関によって主観的に評価されるかもしれません。
Q:地方公営企業と締結した防災協定も有効?
A:地方公営企業の管理者は、地方公営企業法第8条第1項において、当該業務の執行に関し当該地方公共団体を代表すると規定されています。このことから、実体的に地方公共団体と締結しているとみなすことができ、地方公営企業と締結した防災協定も経営規模等評価で加点されます。
Q:加入団体が防災協定を締結している場合は?
A:経営規模等評価の申請者が、地方公共団体等と直接防災協定を締結している場合は協定書の写しで足りますが、建設業協会等の加入団体が防災協定を締結していても、経営規模等評価の加点対象となります。この場合、加入団体が締結した協定書の写しでは、申請者が当該団体に加入していることの証明にはならないため、加入団体が発行する加入証明書によって証明します。
Q:公共工事の指名停止は影響する?
A:経営規模等評価においては、発注者による指名停止があっても評点に影響しません。その他の審査項目として、法令遵守の状況を評価されますが、減点対象となるのは指示及び営業停止(建設業法第28条)となっており、発注者による指名停止については減点されないためです。
Q:指示や営業停止処分が複数年度にまたがるときは?
A:建設業法に基づく指示や営業停止処分を受けた場合、経営事項審査での減点対象になりますが、影響を受けるのは処分日(処分開始日ではない)に該当する事業年度であって、処分期間中の全ての年度ということではありません。処分期間が翌事業年度にまたがっても、処分を受けた事業年度だけが減点の対象です。
Q:建設機械のリース期間が途中で切れてしまう場合は?
A:建設機械のリース期間は、審査基準日から1年7ヵ月以上(経営事項審査の有効期間)残っていなければ、評価対象にならない原則がありますが、それはリース期間が契約満了で終了してしまう場合です。リース契約の中には、再リースしない旨の通知をしなければ自動更新になる延長オプションが組み込まれていることが多く、リース契約書において自動更新の旨が記載されていれば評価対象とする事が可能です。
Q:リース期間終了後に延長または買取予定の建設機械は?
A:自動更新契約のないリース契約で、保有建設機械として経営規模等評価で加点を受けるためには、保有状況が切れることなくリース契約の延長もしくは買取が必要です。ところが、あくまでも予定であるため、経営規模等評価の申請時点では、これらの証明になる書類がありません。そのため、延長または買取する旨を申出書(誓約書)として提出することで、認めてもらうという方法になります。