経審イメージ

審査項目詳細

・純支払利息比率
・負債回転期間
・総資本売上総利益率
・売上高経常利益率
・自己資本対固定資産比率
・自己資本比率
・営業キャッシュフロー
・利益剰余金

経営状況(Y)の計算式

経営状況(Y)=167.3×経営状況点数(A)+583

審査項目となっている8つの指標に対し、それぞれ特定の重み付けで乗じた値を加算した値を、経営状況点数(A)と呼び、経営状況点数(A)は経営状況(Y)の計算に用いられます。
経営状況点数(A)以外は固定値であるため、経営状況点数(A)の値がそのまま経営状況(Y)の値に直結します。

経営状況点数(A)は、8つの指標を用いて次のように計算されます。

経営状況点数(A)の計算式

経営状況点数(A)=(-0.4650)×純支払利息比率+(-0.0508)×負債回転期間+0.0264×総資本売上総利益率+0.0277×売上高経常利益率+0.0011×自己資本対固定資産比率+0.0089×自己資本比率+0.0818×営業キャッシュフロー+0.0172×利益猶予金

これら8つの指標は、負債抵抗力、収益性・効率性、財務健全性、絶対的力量という4つの要素に分かれ、それぞれが2つの指標によって表されます。

■負債抵抗力

純支払利息比率:売上高に対する純支払利息の比率
負債回転期間:月商に対して負債総額が何ヵ月分に相当するか

◎純支払利息比率=(支払利息-受取利息配当金)÷売上高×100
上限値:5.1%、下限値:-0.3%

◎負債回転期間=(流動負債+固定負債)÷(売上高÷12)
上限値:18.0ヵ月、下限値:0.9ヵ月

純支払利息比率と負債回転期間は、いずれも経営における負の部分になるので、値が小さいほうが良好な経営状況といえます。
そのため、経営状況点数(A)の算出においても、この2指標はマイナス値が乗じられており、純支払利息比率が高いほど利息の負担が大きく、負債回転期間が長いほど負債の負担が大きいので、経営状況点数(A)の値が小さくなっていく仕組みです。

また、純支払利息比率は経営状況(Y)に与える影響が最も大きく、純支払利息比率を下げることが、経営状況(Y)の向上に繋がります。
純支払利息比率を下げるためには、支払利息を減らす、受取利息配当金を増やす、売上高を増やす方法のいずれかになり、支払利息を減らすためには、有利子負債そのものを減らすか、借入金利の引き下げ(交渉・借り換え)という方法になります。

■収益性・効率性

総資本売上総利益率:総資本に対しての売上総利益の比率
売上高経常利益率:売上高に対しての経常利益の比率

◎総資本売上総利益率=売上総利益÷総資本
上限値:63.6%、下限値:6.5%
※総資本は負債純資産合計
※総資本は2期平均で、財務諸表が1期分しかなければ1期
※総資本が3,000万円未満なら3,000万円として扱われる

◎売上高経常利益率=経常利益÷売上高
上限値:5.1%、下限値:-8.5%

総資本売上総利益率を上げるには、総資本を減らすこと、即ち負債を減らす方法になりますが、総資本(2期平均)の値は3,000万円が最低額なので、総資本が3,000万円になるところまでの効果しかありません。
これにより、総資本が3,000万円未満の企業は、総資本を減らして総資本売上総利益率を上げることができず、この指標においては不利を受けます。

また、売上高の減少で売上高経常利益率が上がることはありますが、負債抵抗力の値が悪化することになるため、経営状況点数(A)の全体で考えた場合には、売上高の減少はマイナスに働く可能性が高くなります。

■財務健全性

自己資本対固定資産比率:固定資産が自己資本で調達されている比率
自己資本比率:総資本に対する自己資本の比率

◎自己資本対固定資産比率=自己資本÷固定資産×100
上限値:350.0%、下限値:-76.5%

◎自己資本比率=自己資本÷総資本×100
上限値:68.5%、下限値:-68.6%

財務の健全性を、自己資本対固定資産比率と自己資本比率という、自己資本を用いた方法で評価しています。

固定資産に対する自己資本の比率(固定比率)ではなく、自己資本対固定資産比率が用いられる理由は、固定比率において自己資本がプラスとマイナスでは、固定比率の大小が反対の評価になり、固定式を用いた評点の算出に不向きなためです。

自己資本対固定資産比率と自己資本比率のいずれにおいても、自己資本が増えると値が向上するので増資は効果的でも、現実的には増資が難しいことから、固定資産の見直しや、負債の圧縮による総資本の減少が考えられます。

■絶対的力量

営業キャッシュフロー:営業活動での現金の増減
利益剰余金:営業活動で得た利益の積立

◎営業キャッシュフロー=営業キャッシュフロー(千円単位)÷100,000(1億円)
上限値:15.0憶円、下限値:-10.0億円
※営業キャッシュフローは2期平均
※営業キャッシュフロー=経常利益+減価償却実施額-法人税住民税及び事業税+貸倒引当金増減額-売掛債権増減額+仕入債務増減額-棚卸資産増減額+未成工事受入金増減額
※売掛債権=受取手形+完成工事未収入金
※仕入債務=支払手形+工事未払金
※棚卸資産=未成工事支出金+材料貯蔵品

◎利益剰余金:利益剰余金(千円単位)÷100,000(1億円)
上限値:100.0憶円、下限値:-3.0億円

営業キャッシュフローと利益剰余金は、多ければ多いほど評点が高くなりますが、経営状況(Y)に与える影響度が低いものです。
営業キャッシュフローは、売掛金を減らす、買掛金を増やすことで上がりますが、営業キャッシュフローに捉われすぎて経営バランスを崩し、他の評点が下がってしまうようでは元も子もありません。