建設業許可申請イメージ

Q:なぜ建設業の許可がある?

A:建設業は国民の生活において、住居や道路、公共施設、事業所、ライフライン等、重要な施設に関わる産業で、高い公益性と信頼性が求められます。建設業の適正化は、粗悪な工事を妨げると同時に、発注者や建設業を営むもの全体を保護し、それは最終的に国民の生活の安全へ繋がるという考えからも、基準に照らし合わせた許可制度が必要不可欠と考えられています。

Q:建設業の許可は誰でも受けることができる?

A:建設業の許可には一定の要件を満たしていなければならず、許可要件を満たしていれば、個人・法人の違いや、事業規模の違いが問われることはありません。しかし、許可を受けるためには、重要な地位に一定年数の実務経験を持つ人員の設置が義務付けられているので、建設業に長く携わってきた人材が必要になります。

Q:建設業の許可がなければ建設業者ではない?

A:建設業の許可を受けているかどうかにかかわらず、建設業の営業を行い、請負契約を結んで成果物を引き渡すことを業務としているのであれば、一般的に言うところの建設業者です。ただし、法文上では明確に区別されていて、建設業の業務を行うもの全体を「建設業を営むもの」、その中で建設業許可を受けているものを「建設業者」と呼びますので、官公庁等もそれに従い、建設業者とは建設業の許可を受けている業者を指します。

Q:建設業の許可はどうしても必要?

A:建設業を営むこと自体に対して、建設業の許可が必要なわけではありません。許可を受けなくても建設業を始めることはできますが、許可を受けないで請け負える建設工事には金額の制限があり、請負金額が大きくなれば元請・下請にかかわらず必ず建設業の許可が必要になります。また、建設業の許可を受けることによる社会的な信頼性の向上が、建設業の営業に大きく寄与する側面から、建設業の許可を受ける(または受けなければならない)場合も多くあります。

Q:建設業の許可を受ければ何でも工事できる?

A:建設業の許可は、建設業の業種ごとに28種類存在します。そして、1つの業種の許可を受けたとしても、その業種以外で建設業の許可を受けたことにはならず、あくまでも許可を受けた業種に対しての請負金額の制限がなくなるに過ぎません。されます。許可を受けた業種以外では、元請・下請問わず、軽微な工事と呼ばれる小規模な請負金額を超える建設工事を行うと、無許可営業として罰せられます。

Q:無許可業者って違法ではないの?

A:建設業の許可を受けていないで建設業を営むことが、そのまま違法性には繋がりません。無許可業者に許されている軽微な工事であれば、適法に工事を請け負うことが可能です。その一方で、軽微な工事を超える建設工事を請け負うと、無許可営業とみなされて違法になります。「無許可」という言葉から誤解しがちですが、無許可業者が違法であるかどうかは工事金額によって決まることで、許可の有無で決まることではありません。

Q:知事許可と大臣許可の違いは?

A:知事許可と大臣許可は、営業所が1つの都道府県内であるか、複数の都道府県内であるかどうかの違いで、許可業者のランクを表すものではありません。大きな建設業者に大臣許可が多いのは、事業の拡大により営業所を複数の都道府県に設置しているためです。また、一度どちらかの許可を受けても、営業所の設置状況が変化すれば、もう一方の許可に申請し直す可能性があります。

Q:知事許可は大臣許可より業務の範囲が狭い?

A:知事許可と大臣許可は、営業所の設置場所とその範囲の違いであって、営業する区域や工事現場の場所について制限するものではなく、業務の範囲が狭くなることには該当しません。ただし、請負契約締結が営業所で行われる以上、実務において営業所近隣の営業範囲になることは考えられ、営業範囲を広げるために支社等を複数の都道府県におき、大臣許可を受けて営業する形態が多くみられます。

Q:個人事業者の建設業の許可は相続等で引き継げる?

A:建設業の許可は、申請者に対して与えられ、事業としての引継ぎとは全く性質が異なるものです。そのため、事業承継人が建設業の許可まで引き継ぐことはできず、新たに許可の申請が必要になります。この場合、一定の要件を満たせば、許可番号や許可年数を引き継ぐことができる運用をしている行政庁もあります。

Q:個人事業者が法人成りした場合に建設業の許可は引き継げる?

A:個人事業から法人格になることで扱いが変わるために、建設業の許可は引き継ぐことはできず、法人として新たに建設業の許可を受ける必要が生じます。相続等で事業を承継する場合と同じように、法人成りでも一定の要件を満たせば、許可番号や許可年数を引き継ぐことができる運用をしている行政庁もあります。

Q:令3条の使用人って何?

A:令3条の「令」とは建設業法施行令のことで、令3条の使用人とは、建設業法施行令第3条に定められた使用人のことをいいます。具体的には、常時建設工事の請負契約を締結する営業所において、契約、見積、入札等に一定の権限を委譲された者で、支配人や営業所の代表者(支店長など)が該当します。営業所の代表者であれば令3条の使用人というわけではなく、請負契約に権限を持っていれば代表者ではなくても令3条の使用人ですが、権限を与えられるだけの地位は、一般に支店や営業所の代表者である支店長や営業所長です。

Q:社会保険未加入でも許可は受けられる?

A:社会保険の加入状況は許可申請時に提出しますが、社会保険未加入だからといって許可を拒否する理由にはなりません。ただし、社会保険加入についての指導を受けることは必至で、指導によっても未加入であれば保険担当部局に通報されます。また、平成29年度からは、許可業者の社会保険加入率を100%(適用除外を除く)とする目標が設定されています。

Q:自社の建物を自社で施工するときでも許可が必要?

A:建設業法における建設業とは、「建設工事の完成を請け負う営業」をいいます。自社の建物を自社で施工する場合、完成を請け負ってはいないため、建設業の許可は必要ありません。個人が物置を日曜大工で作っても、時間を掛けてログハウスを作っても、可能かどうかはともかく大邸宅を作っても、建設業の許可が必要ないのと同じことです。