Q:専任技術者と経営業務の管理責任者は兼任できる?
A:専任技術者は配置される営業所においての専任性ならびに常勤性が、経営業務の管理責任者は、主たる営業所での常勤性が求められます。したがって、両者は異なる営業拠点で常勤することが必然的にできないため、兼任が認められません。例外は、経営業務の管理責任者が主たる営業所において、専任技術者を兼任する場合で、専任性と常勤性の両方を兼ね備えることができるので兼任可能です。
Q:専任技術者と主任技術者(監理技術者)は兼任できる?
A:専任技術者は、配置される営業所においての専任性ならびに常勤性が求められるため、建設工事の施工の管理を行う主任技術者や監理技術者を兼任してしまうと、工事現場に出向くことで営業所での常勤性が失われてしまい兼任できません。ただし、当該営業所において締結された建設工事で、工事現場と営業所が近接して常時連絡を取れる状況にあり、主任技術者(監理技術者)の専任性を要求される工事ではないといった、一定の要件を満たせば兼任が認められます。
Q:専任技術者の専任性が認められない場合とは?
A:専任技術者における専任性とは、当該営業所に常勤し、専任技術者としての職務に従事していることを示しますので、例えば他の営業所や事業者において常勤である、常勤しているとされる営業所が社会通念上において著しく遠隔地にある(概ね基準は1時間半から2時間程度以内)、国や地方公共団体の議員になっている、専任性を有する他の資格(建築管理士や宅地建物取引主任者等)による職務に従事している(同一営業所内を除く)などの理由があれば、専任していると認められません。
Q:他社の出向者を専任技術者にできる?
A:他社の出向者であっても、常勤性が確認できる場合には、専任技術者として建設業の許可を申請することは可能です。しかし、他社の出向者であるということは、出向期間が終われば当然に常勤性が失われるため、その時点で代わりになる専任技術者がいなければ、出向者を専任技術者としていた営業所は閉鎖せざるを得なくなり、代わりの営業所もなければ、出向者を専任技術者として許可を受けた業種において廃業することになります。
Q:複数の業種を1人の専任技術者が兼任できる?
A:専任技術者として常勤する営業所に限り、複数の業種の専任技術者を兼任することが可能です。その場合でも、専任技術者がそれぞれの業種に対する要件を、資格や実務経験等で全て満たしていなければなりません。また、専任技術者の兼任は、その人員が欠けたときの影響が大きいため注意が必要です。
Q:専任技術者と現場代理人は兼任できる?
A:現場代理人は、建設業法上の規定に基づいて設置が義務付けられているものではなく、請負契約(特に公共工事)において定められ、通常は工事現場に常駐が求められます。一方、専任技術者は営業所での常勤性が求められ、現場代理人として常駐であることは専任技術者の常勤性が失われることから、兼任することができません。
Q:専任技術者は1営業所に1人でよい?
A:1営業所で1人の専任技術者になる条件には2つあります。1つは、その営業所が単一の業種の許可しか受けていない場合、もう1つは、その営業所が複数の業種の許可を受けていても、全ての業種について1人の専任技術者が兼任できる場合です。専任技術者は許可業種ごとに必要になるため、複数の許可業種の営業をする営業所では、兼任できる人員がいなければ全ての許可業種の数だけ専任技術者が必要です。
Q:専任技術者は要職でなければならない?
A:専任技術者は、経営業務の管理責任者と違って技術者であるために、組織における役職者である必要はありません。しかし、一般に専任技術者として建設業の請負契約に関わるためには、専門的な知識や経験、資格等を有していることが条件となることから、一定の責任を持つ役職にある人を専任技術者にするケースが多いでしょう。
Q:専任技術者の実務経験はどのように算出する?
A:実務経験は、技術者としての雇用期間ではなく、実際の工事において、技術上の実務に携わった経験の期間を積み上げて計算します。したがって、雇用期間において具体的な工事件名を列挙し、その職名(工事主任等)を記載して証明しますが、工期が重複する複数の工事に携わっていても、重複した期間を別々の期間として実務経験とすることはできません。
Q:アルバイトやパートは専任技術者になれる?
A:専任技術者は高い専門性と常勤性の両方が求められ、アルバイトやパートの職員が専門性を有していても、継続的な雇用契約とは言えないため、専任技術者として認められません。他に専任技術者として該当する人員が不足している状況なら、アルバイトやパートの当該従業員を社員登用してでも専任技術者として確保することが必要です。